ひびを宿す

diary

益子のスターネットは静かな池の畔にあります。

スターネットが生まれるずっと前から
その名がつけられるずっと前から
この地に水を湛えてきた 須田ヶ池。

陽のもとですべてを映し
闇のなかですべてを吸い込み
水は世界をひとつに包みます。

大寒の空の下で結した氷面は、
寒風に撫でられる度、夜毎にその厚みを増して。

いずれ自らにひびを宿し、そうして再び還っていきます。

ひとつの世界に、還っていきます。

陶器を象る土も、その土を覆う釉薬もまた、
時の経過と共に空気に晒されるなかで
微細なひびを宿します。

そこに入る渋は、日々の痕跡、重ねた営みの証。
ふたつとない姿へ育ちます。

いずれ、剥がれたり、欠けたり、割れたりしながら
微細な粒へ、すべてを抱く
ひとつの大地へと還っていきます。

いつの日かまた、土を掬い、捏ね、象り、
炎の前に焼く人の手々を経て
再びわたしたちの暮らしに戻ってくるかも知れません。